事業譲渡契約書とは
事業譲渡契約書って何?
■概要
近年M&Aという言葉をよく聞くようになった。
Merger and Acquisitionという言葉の略であり、企業の合併・買収という意味になる。
M&Aでは買い取り手の企業は、合併対象の企業をまるまる傘下に収めて、事業の拡大や競争力の強化を図る。
それに対して事業譲渡は、企業のある部門を別の企業に譲渡する。
企業によっては様々な部門を展開している企業もある。
例えば、ワタミ株式会社は居酒屋でおなじみだが、介護事業も行っている。
その中で採算が取れなくなった部門を売却して、経営状況の回復を計ったり、経営を特定の部門に集中したりする。
買い手側も他社のノウハウを吸収することができ、その部門をさらに大きくすることができる。
この事業譲渡の際に使用されるのが事業譲渡契約書である。
■事業譲渡の流れ
受け取り側の流れとしては、まず取締役会で事業を引き渡すことを決定する。
その後株主総会で決議したあと、正式に契約する。
受け取り側もまず、取締役会で事業を受けることを決定する。
そして株主総会で決議をした後、正式に契約する。
このように、引き渡し側、受け取り側、どちらの企業も、内部の人間たちだけで事業譲渡を決めるのではなく、最終的には株主などの利害関係者(ステークホルダー)の承認が必要になる。
事業の譲渡は会社の存続が関わる重大なことである。
株主にとってはその会社に投資を続けるかどうかの分岐点になる。
また引き受け側の企業にとっても事業を引き受けることで、負債も同様に引き受けることになってしまう。
事業譲渡は良い面を受け取ることができるというわけではない。
そして正式な契約が結ばれた後、約3か月から12か月で事業の引き渡しが完了する。
■事業譲渡契約書の内容
契約書の内容としては、事業譲渡の目的、譲渡日、譲渡財産、譲渡価格、支払い方法、引き渡し時期、善管注意義務、守秘義務、従業員の取扱い、事情変更、承認、瑕疵担保責任、競業避止義務、公租公課等の負担、協議事項などが記載されている。
ここで気になるのは、競業避止義務であろう。
事業を譲渡した企業は、特に取り決めがない限りは、同一市町村、及び隣接市町村の区域内に限り同一の徐行を行ってはいけないというルールが会社法で定められている。
つまり、事業を譲渡して、負債をリセットしてから、会社に残ったノウハウなどの目に見えない資産を使ってもう一度事業を行う、ということは禁止されているのである。
譲渡する際はノウハウごと譲渡しなければならない。
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