人間の安全保障とは
人間の安全保障って何?
人間の安全保障とは
「人間の生にとってかけがえのない中枢部分を守り、すべての人の自由と可能性を実現すること」これは人間安全保障委員会によって定義された人間の安全保障の定義である。
人間の安全保障とは、個々の人間の安寧を保証すべきという考え方のことであり伝統的な「国家の安全保障」の概念と相互依存、相互補完の関係である。
国家の安全を保障するととともに、国民1人1人の安全も保障しなければならないという考え方である。
この考えの発端は、冷戦終結後多発する地域紛争に対して、現地国家が国民の安全を確保することが難しくなったという状況のもと、国際社会がどのように現地の人々1人1人の安全を保障するべきかという問題に迫られていたということである。
国家単位だけでなく、人間1人1人に着目し、生存・生活・尊厳に対する深刻な恐怖から人々を守り、彼らの未来を保障するために保護と能力強化を通して個人の自立と社会づくりを促すという考え方である。
グローバル化、相互依存が深まる今日の世界においては、貧困、環境破壊、自然災害、感染症、という問題は国境を越え、人々の生活に深刻な影響を及ぼしている。
このような昨今の国際課題に対処していくためには、今までのような国家を中心に据えた活動だけでは不十分になってきており、「人間1人1人」に焦点をあて、彼らを保護し、自立して生活できるだけの能力をつけさせることが必要なのである。
「欠乏からの自由」「恐怖からの自由」「尊厳ある人間生活」が主要3要素である。
日本の人間の安全保障への取り組み
日本では1998年に小渕内閣が人間の安全保障と提唱し、2000年には「人間の安全保障基金を創設」した。
コソボ紛争や東ティモールの難民救済・復興支援などを行いその実績は2007年までに170件以上の活動を行っている。
外国の人間の安全保障への取り組み
カナダでは、米軍アフガニスタンのタリバン勢力の掃討作戦への協力など国連の枠組みに限らない国際協力の形で武力の提供を実践している。
またノルウェーとともに「人間の安全保障ネットワーク」を立ち上げ、オンラインでの情報共有など独自の国際協力を展開していた。
しかしこれらのアプローチは「恐怖からの自由」に重点を置いており、人道的介入も辞さないという理由から、人間の安全保障とは区別され「保護する責任」というくくりに加わった。
「保護する責任」とは、人道的危機に対して武力を投入する人道的介入は想定されないという考え方である。
カナダの方針は人道的介入を想定しているため人間の安全保障とは区別されることとなった。
そのため、現在の人間の安全保障の主流を担っているのは日本なのである。
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