株式持合いとは
株式持合いって何?
■概要
株式持合いとは複数の株式会社や金融機関がお互いの発行済株式を保有し合うことで、取引関係の強化や経営支配権の安定化を目的として行われます。
諸外国でも似たような構造は見られますが、日本特有の慣習に近いものとなっています。
相互保有している株式を相互保有株式といい、三社がそれぞれ持合いをしている状態を三角持合いといいます。
■株式持合いが生まれた背景
日本で株式持合いが生まれた要因は大きく3つあるとされています。
1.メインバンクと企業側の担保
高度経済成長期において、企業には大量の資金を安定して確保したいという思惑がありました。
一方で、銀行は成長企業に融資することで業容を拡大したいという考えがあり、その結果メインバンク制が生まれ、メインバンクと企業がお互いの株式を担保として持ち合うことにつながりました。
2.取引関係の担保
原料会社、加工会社、販売会社などが長期的な取引関係を築くためにお互いの株式を持ち合うこともありました。
3.外資による乗っ取りの防止
日本がOECDに加盟したことで貿易資本の自由化が進められたことを受けて、日本企業の間では外資による乗っ取りを警戒する声が高まりました。
外資による乗っ取りを防止するため、財閥系や大手銀行などがお互いの株式を持ち合って浮動株を減らすことになりました。
■株式持合いのメリット
ここでは株式持合いのメリットについて説明します。
1.企業間関係の強化
株式持合いを通して企業間関係の強化ができ、取引関係を維持できるなどのメリットがあります。
2.積極的な長期投資が可能
株式持合いをしている企業同士は通常議決権の行使は行いません。
そのため企業の経営者は長期的な視野で見た経営戦略をとることが可能で、研究開発などの長期投資を行いやすくなります。
■株式持合いのデメリット
ここでは株式持合いのデメリットについて解説します。
1.株主によるチェック機能の形骸化
株式持合いをしている場合、議決権は行使されないことがほとんどなので株主による経営チェックが形骸化してしまい、経営者に圧力をかけることができません。
そのため、放漫経営につながってしまうこともあります。
2.業績悪化によって双方に損害が生じる
株式持合いをすると相手の株式を簡単に売却することができません。
そのため、相手の業績が悪化して株価が下がってしまった場合や経営破綻して株式価値が大きく減損した場合、もう一方の企業にも損害が生じてしまいます。
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